年賀状ソフト2012年12月02日 15時00分

年賀状ソフトを購入したのであった。

私自身は一生この手のソフトを買うことはないと思っていた。購入に至った理由はいくつかある。

・宛名も印刷したい
これは私の要望ではなく家内の希望である。私は宛名を印刷することは厭なのだ。というのも裏を印刷し、宛名を印刷すれば、それは最早ダイレクトメールと同等だと思うからだ。裏に独自の趣向を凝らしたりしてオリジナリティがあればまだいいが、大抵の年賀状は出来合のデザインをそのまま使用していて、差出人が違っていてもわからないという程度のものでしかない。実際、同じ年賀状を別の二人から受け取ったことがある。私が差し出す年賀状の枚数が少ないということもあるのだが、私の年賀状の宛名は下手であっても手書きで通しているし、今後もそのつもりである。決してパソコンで宛名の印刷ができないということではない。

・住所録を活用したい
話が重複するが、わが家にも表計算ソフトで作成した住所録は随分前からあることはあった。ただ、上記の通りこれを年賀状の宛名印刷に活用したことはない。ところが家内が宛名を印刷したいということもあるし、さらにパソコンが使えるようになりたいということで家内が現在 Excel を習いに行っている。これで住所録が扱えるようになったので、家内の住所録も以前からある住所録に追加してパソコンで印刷したいというのが理由である。当初、私は Excel で作成した住所録を LibreOffice の Writer で差込印刷しようと考えていた。OpenOffice 用のテンプレートを適当にダウンロードして、これをすでにある住所録と組合せて使おうとすると、データの加工が必要になる。例えば住所の番地を漢字に変えようとするとマクロでないと駄目らしい。
話は逸れるが、家内はほぼ完全なパソコン初心者だ。なので、パソコン教室で習う Excel のバージョンと家のバージョンが違えば、それだけで家で復習できない。これまで家にあるのは 2000 だった。Excel なんか買う予定ではなかったが、止むを得ず購入したので Excel だけ 2010 がある。Office で買うと倍ほど費用がかかるし、Word は家内の仕事でも業務上使うことはないだろうと思うので、Excel 単品で購入した。
さらに話が逸れるが、パソコン教室ではワープロの何を教えるのか嫁に訊いたら、年賀状だのポスターだの、さして実用的とも思えないようなことしか教えないらしい。Word と Excel どっちを習えばいいかアドバイスを求められたときに私は迷わず Word など習う必要なしと力説した。家庭でワープロを使う状況というのが私には思い浮かばない。亭主が会社の仕事を持ち帰るというのを別にすれば、私的なことでワープロを何に使うだろうか。使う必要ができたとしても、わざわざ教室で習う必要もないし、Excel に馴染めば本を買って独習しても適当に使えるようになる。年賀状のために Word を買うような無駄なことはしたくなかったという理由も若干あるが、習っても仕方のないものを教わっても無駄なので、チケットがなくなるところまで Excel を習えと言いつけてある。

・フォントが欲しい
年賀状ソフトを購入した直接の動機がこれだった。

たまたま家内が買ってきた年賀状デザイン集に筆まめのベーシック版というのが附録で入っていた。住所録の加工にマクロをいじり始めていたときにベーシック版でできることを調べてみたら、宛名の印刷もできるらしいことがわかった。実際やってみると Excel の住所録を取り込んで差込印刷できるようだ。当初は無料のこれで行くつもりだった。ところが、文字の大きさを自分では制御できないことがわかってやや不満に思っていた。
それとは別に、宛名を印刷するのに適当なフォントがないのも以前から気になっていた。うちには明朝体とゴシック体くらいしかフォントがない。自分の知人などに出す年賀状はデザインの都合もあってそれでいいが、親戚などに出すのはどうも適当ではない。フォントが欲しくて調べてみたら結構な値段がする。これではフォントは買えない。独身なら買っていただろうが。ところが年賀状ソフトにはフォントが附いてくることに気が付いた。価格を調べるとベーシック版ならアップグレードで買えるらしく、これだと ¥3,000 強で大量のフォントに年賀状ソフトまで附いてくる(うちの場合、話が逆ではない)。

というような経緯で年賀状ソフトを買うことになった。昔、年賀状ソフトは、完成されている、というようなことをどこかで読んだ。実際に使ってみると使い勝手がいいとは決して言えない。もっと何とかなるだろうという部分は多い。目的がはっきりしているし、お手軽に年賀状を作るという用途にはまあ簡単なのだろう。だが、少し細かいことをしようとすると、あれこれ不便なのである。お手軽設定の自由さを細かい設定でも使えるといいのだが、デザインに拘りのないユーザを相手にした製品なのだろう。

フォントは確かに大量にある。価格と品質を天秤にかけると文句は言えない。とはいえ、フォントの品質はよくない。欧文フォントと数字フォントはどうしようもないのでインストール直後破棄した。見るからに使えない一部の和文フォントも同時に捨てた。字遊工房の書体くらいの品質になると吃驚するような価格になって、年にどれほど使うのかという個人用途には合わない(それでも欲しいが)。しかし文字は美しい。
写研が OpenType フォントの販売に参入するという話があって、欲しい書体がいくつかある。一番欲しいのは曽蘭隷書だ。隷書体もいろいろ出回っているが、どれもこれも曽蘭隷書の美しさには遥か遠く及ばない。今回購入した筆まめにも隷書体はある。実際に使用してみるとどうにも使えない文字があったりして腹立たしい。
写植の時代と較べるとパソコンになって書体の品質が恐ろしいほど落ちた。いいフォントもない訳ではないが、安価に入手できるということもあるからか、どうしようもないフォントがプロの仕事にも普通に使われていて嘆かわしい。それを言うと素人の組版みたいな書籍も多くなって、本屋で本を探しても組版で買う気の失せるものが多くて閉口させられる。ワープロ気分で組版しているような本が増殖している。そんなどうしようもない組版を見ると内容を評価する前に買う気になれない。売れないのは工程の省力化と経費の削減によって、ワープロ出力を製版したようなどうにもならないものが多いのも一因ではないかという気がしている。まさか Word で組版して InDesign に流し込み、Word の設定そのままで版下にしているのではないだろうな。

年賀状からとんでもない方向に話が行ってしまったのであった。

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