黒い日産の改造車に乗ったどうしようもなく運のない男2012年10月24日 22時50分

今日も平凡に一日が終っていくのだろうと思っていた。

帰りのことだった。
幹線国道を走っていると横を日産の黒い改造車が前の車を煽るように走って行った。そのときは「相変らずアホなやつがいるなあ」くらいにしか思っていなかった。見る間に前方に消えた。

しばらくその国道を走り、私は国道から少し南にある線路沿いの道を走り始めた。少し走っていると黒い日産の車を追い抜いた。どうにもさきほどの車に似ている。どこかに行ってしまったとばかり思っていたら、こんなところを走っている。

また追い抜かれたが、そのまま見えなくなるだろうと思っていたら前方の信号で車が詰っている。私が通るときには青になったので、必然的にそのまま追い抜いて行くことになる。走り続けていると次つぎに追い抜いていき、黒い日産も追い抜いて行った。

そうしたら前方でまた信号が赤になっている。私は信号のところまで走り停止する。青になったので走り始める。あっちは隙があれば速度制限を無視して暴走したい馬鹿なので、不必要な速度で追い抜いて行く。
たまにクラクションを鳴らされて走り抜けていく車に腹を立ててぶっ千切ってやりたい衝動に駆られることがあるが、そんな脚力があるわけでもないので、追い抜かれてそれっきり見えなくなるというのがいつものパターンだ。

見ていると先の信号が赤になる。また私が信号まで辿り着く。青になったので走っていると、追いついてきて窓を開け「危ないやろ。歩道に上がれ」とか何とか喚いている。食ってかかりたい気もするが、今回こそ追い抜けるだろうと思うのに並走してそんなことを喚くような奴に食ってかかると幅寄せか何かされかねないので、無視して車道を走る。

少ししたら追い抜いて行ったが、先の信号は赤になる。仕方がないので信号まで行く。この調子だとまた因縁をつけられるかもしれず鬱陶しいので、信号待ちしているところから南に入り線路の反対側の歩行者しくらいしか通行できないような細い道を走ることにした。今度こそ走り去ってくれるだろうと思っていたら両方の道が合流するところまで走った頃にその車は飛ばして行った。

漸くいなくなるだろうと安心していた。
少し先に信号はあるが私が通過する頃には赤になって私がひっかかるだろうタイミングだった。実際その通りになり、黒い日産はその先を走っていく様子が見えた。この時間帯は私が引っかかった信号の二つ先まで走ると必ず赤になる。これでさらにどこかに行ってくれるだろうと期待していると、またさらに二つ先の信号で引っかかっている様子だ。こんな碌でもないやつに限っていつまでも付き纏われるのかと思うとそろそろうんざりしてきた。

あっちは私が信号に近づく前に青になったので、走り始めているが、どういうわけか私は珍しくその信号で引っかかる前に通過できてしまった。普通は引っかかって待たされるのにである。

このパターンだとさらに先の信号ではこっちもあっちも赤で停車することはないので、安心していると、馬鹿がその先の信号で引っかかっている。私が近づく頃には青になっていて、うまくすれば私が赤で引っかかるかもしれないと思っていたらそのまま青で通過できた。
少し先にも信号があるが、そこから先は一方通行で車は直進できない。そこで黒の日産は信号待ちしている。
信号の様子を見ていると私がその信号に届く頃に青になりそうだ。

信号に辿り着く直前で青になったので自転車の私はそのまま直進する。よほど何か言い返してやろうかとも考えたが、追い抜いて鼻を明かしてやる方が気分がいいので、ぶっ千切って直進する。間違ってもあっちは追いかけてくることはできない。

その先で私の走っている道と黒い日産が走る道は別の国道に合流することになる。これ以上関わり合いになるのは勘弁してもらいたいので、国道に合流するところでいつもは走らない別の道に抜けて日産を躱すことにした。

この間約 5 km。あっちは無意味にアクセルをふかして 5 km 走り、何でもないクロスバイクがいつもくらいのペースで走って結局ほぼ同じ所要時間というのが痛快であった。普段ならこっちがぶっ千切られて追い返すことなど叶う筈もない。
腹は立ったし、若干身の危険も感じたが、最後にぶっ千切れただけでも爽快だ。

黒い日産の男はよほど日頃の行いがよくないのだろう。5 km も無駄にガソリンを消費しながら結局人力車輛と同じパフォーマンスしか出なかったわけだ。合流する筈の国道をぶっとばしたところで、結局自転車と大して違わないのだろう。

警察に言ったところで取締ってくれるわけでもなく、警察に行くだけ無駄骨に終るような気がするが、あんなやつがいなければ車道を自転車が走っても全然危険ではない。

いつもはぶっ千切られるばかりなので、都市部では自転車の平均速度は車と同等であると知ってはいても結局車が速いのだろうと思わずにはいられないのだが、こういう経験をしてみると改めて自転車の速度が馬鹿にできないことが実感でき、これはこれでよかったのかもしれないという気にもなるのであった。

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