プリペアドピアノ in Chinatown2012年01月29日 21時18分

映画 Chinatown の音楽は Jerry Golsdmith の作曲である。
少し前まで知らなかったのだが、元は別の作曲家が作った曲がリジェクトされて Goldsmith に回ってきたらしい。
最初に映画を観たときに Goldsmith は編成が頭に浮んだと書いてあった。トランペット・ソロ、4台のピアノ、4台のハープ、ストリングス、グィロ。他にもパーカッションがあったかもしれないが、かなり特殊な編成である。不思議なのは長い間聴いているが 4台のピアノというのがわからなかった。2台はわかるが、どこにそんなに使っているのかと思っていた。
ところがある日、上記の編成では聞かれない音があることに気が付いた。そのとき残りのピアノの使われ方がわかった。プリペアドピアノだ。

プリペアドピアノというのはピアノの弦にいろんなものを挿入したりして音色を調整したピアノのことだ。普通は現代音楽で使われる手法である。

録音まで 10日しかかかっていないということも驚きだが、そんなに余裕のない仕事でプリペアドピアノを使うというのが驚きである。

Goldsmith はアレンジも自分でやる作曲家なので、音楽を付けるところを検討したり作曲したりするだけでも時間がかかる筈だが、さらに編曲もしなければならない。まあ編成が最初に頭にあるくらいだから曲ができたときにはある程度オーケストレーションも仕上っているのかもしれない。ただ、プリペアドピアノは普通のピアノではないので、どこに何を挿入するというようなことは作曲家が指定しなければ作曲家の意図した音にならない。

この辺がいろんな新しい音を作ったり使ってきた Goldsmith の真骨頂とも言えるのかもしれない。ただでさえ、普通でない編成の曲を作るのにプリペアドピアノをどうするかというところまで考えなければならない作業までする時間があるのかどうか。実際あったから映画も公開され、アカデミー作曲賞にもノミネートされたわけだが。

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