道を訊ねる幸福2010年06月13日 11時30分

仕事で半年弱ほど単身赴任することになった。
短期となると家電や家具を揃えるのも手間と費用を考えると馬鹿にならない。畢竟家電付き物件ということになる。ところが家電付物件というのはなかなかあるものではない。大都市では探せばあるのだろうが、地方の町となると需要の関係もあってか唯一レオパレスということになっているようだ。
ところが何気なく検索していると検索キーワードの候補に「評判」というのがあり、それで検索するとかなり評判が悪いらしいことがわかる。おまけにエアコンは三時間で自動的に切れるというではないか。解除方法もあるらしいが、それでなくても評判の悪い業者の物件にわざわざ博打を張って住む必要もないような気がする。

というようなわけで、地元の不動産屋のウェブサイトというのを探していた。田舎町の不動産屋はホームページを持つほどでもないのかどうかわからないが、場所と電話番号しか見つからない。諦めてレオパレスかと思っていたら偶然地元でなおかつ家具家電付という物件を所有している不動産屋を見つけることができた。ここを第一候補にしてレオパレスの比較的新しい物件を第二候補にした。
いきなり単身赴任なら暇なうちに物件を見て、仕事を始める前に引越という段取りにできるのだが、最初に試用期間というのがあってとりあえず一週間ほどは出張で来てほしいということになった。出張期間中に物件を見に行けたらいいだろうと考えていたが、仕事を終えると不動産屋の閉まる頃だった。仕方がないので、物件を確認することは諦めて会社にいくつか希望を伝えた上で二つの物件のどちらかで手配してもらうことにした。

家が決ったと連絡があった。聞くと第一候補ではないが、その不動産屋が所有している別の物件らしい。所在地がメールにあったので、それを頼りに物件の場所と外観を確認しようと現地に行ってみることにした。

古いカーナビを頼りに近くまでやってきたが、場所がわからない。さんざんうろうろした挙句どうにもわからないので、誰かに訊いてみることにした。たまたま歩いていた生徒を捕まえる。生徒であればそんなに遠くに住んでいるわけではないだろうから土地勘はあるだろうという読みもあった。残念ながら、はっきりとはわからないらしい。それでもたどたどしい説明をしてくれた。要領を得ない。参ったなと思っていると、彼女は最後に「下手な説明で間違っているかもわかりませんけど、そのときはすいません」というようなことを申し訳なさそうに言ってくれた。
実際、説明はあまり役には立たなかった。それでも腹を立てる気にはならなかったし、それどころか役に立たない説明でも彼女に訊いてよかったという気にさせられた。中学生だろうと思われるが、はにかんだような様子と大人にはない初初しさが混じったような可愛らしさがあった。すけべ親父のようなことを書いてはいるが、そう思われては心外だ。無知蒙昧の癖に生意気な子供が多い中「日本もまだ捨てたものではないな」と思ったと書けば多少は理解してもらえるだろうか。
そのときの様子も気分もうまく書けないのがもどかしいが、数分の幸せとでも表現したいできごとだった。

物件には無事辿り付くことができた。相生はいい町である。

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